第121章 盗み聞き

佐野天勝と佐野静が傍らに立っていた。二人とも顔色は真っ青で、どちらが先に崩れてもおかしくない。

「父さん……あの連中、父さんが苦労して集めた『役者』だって言ってたじゃないか?」

佐野天勝の声は裏返っていた。

「役者がボロ出したら困るだろ? だから一応カジノも見に行ってさ、金を積んで向こうの用心棒を雇えば確実だと思ったんだよ……」

佐野健邦は首をすくめ、視線をあちこちに泳がせる。誰の顔もまともに見ようとしない。

「で、カジノに行ったら向こうが『初めてなら』って、タダでチップを十枚くれてさ。そしたら運が良すぎて、一気に四千万勝っちまって……それで、あとから……」

曾我梅の目が、今にも...

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