第126章 たぶん私がきれいだから

立花柊は自分の腕を軽く引いてみせた。

「……塗れた?」

「うん」

ふわり、と。鸢尾花の香りが鼻先をかすめる。瀬戸北斗は思わず咳払いした。声が低く、掠れている。

「もう塗ってある」

「この薬、毎日一回塗らないといけないの。明日も私が塗ってあげる……」

「それはさすがに要らないだろ!」

立花柊は瀬戸北斗の手から軟膏をひったくると、うさぎみたいに愛嬌たっぷりの笑顔を浮かべた。

「こんな小さなこと、瀬戸社長様にお願いできませんって!」

「でもね、これって一応……労災みたいなものでしょ? 瀬戸社長様が軟膏一本くらいくれても、別に過分じゃないよね?」

瀬戸北斗は笑って彼女を見た。小さ...

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