第13章

季原青陽は呆気に取られた。立花柊が何をしたいのか、さっぱり分からない。

仕方なく瀬戸北斗へ視線を向ける。すると瀬戸北斗は、眉を寄せたまま洗面所のほうをじっと見つめていた。いつもは冷え切っているその目に、はっきりと案じる色が浮かんでいる。

季原青陽はさらに驚いた。

瀬戸北斗と知り合って長いが、あんなふうにひとりの女を気に掛ける姿は、これまで一度も見たことがない。

しばらくして、立花柊がようやくうがいを済ませて出てきた。

彼女は瀬戸北斗と季原青陽を見て、申し訳なさそうに眉を下げる。

「すみません。わざとじゃないんです。ただ、料理の匂いを嗅いだら急に気分が悪くなって……我慢できなくて」...

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