第142章 全部壊せ

劇団との契約書にサインを終えた瞬間から、立花柊の気分は晴れやかだった。ここ数日まとわりついていた息苦しさも、行き場のない迷いも、全部――喜びに塗り替えられていく。

彼女は自分から瀬戸北斗に連絡を入れ、市中心部の高級レストランで食事をしようと誘った。ここしばらく助けてもらったお礼を、きちんと形にしたかったのだ。

約束の場所には立花柊が先に着いた。時計を見ると、まだ三十分もある。

時間をつぶすついでに、レストランの隣にある工芸品店へ足を向ける。瀬戸北斗に渡す、ささやかな贈り物でも選ぼうと思った。

店内は驚くほど洗練されていた。水晶ガラスの置物がずらりと並び、照明を受けてきらきらと瞬く。ま...

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