第150章 彼女の正体

翌日。

真っ赤なフェラーリが、路肩にすっと停まった。

立花佳織は細いピンヒールを鳴らし、坂東敏恵が指定したカフェへ現れる。

席に着くなり、彼女はわざとらしくバッグをテーブルへ放り投げた。

どさっ。

バッグの角が、坂東敏恵の前に置かれていたコーヒーを弾く。褐色の液体がはね、敏恵の服を汚した。

坂東敏恵は腹の底が煮えくり返った。だが、歯を食いしばって堪える。

その様子が可笑しかったのか、佳織は肩を揺らして笑い、すぐに眉を吊り上げた。

「用があるなら、さっさと言いなさい」

坂東敏恵はカードを一枚取り出し、テーブルの上へ静かに置いた。

「ここに、六百万入ってる」

佳織が一瞬、固...

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