第17章

保坂心月に問い詰められても、立花柊は洗面台に両手をついたまま、視線を落として黙り込んだ。

その沈黙が、心月の胸の奥をぐさりと刺す。

さっきまでの得意げな気分は、霧みたいに一瞬で消えた。

――可哀想な子。運のない子。

そう思っていたはずなのに。

妊娠していて、しかも瀬戸北斗の子である可能性が高いと分かった途端、嫉妬が喉元までこみ上げてくる。

「……その子、北斗の?」

心月は、最後の望みを抱いて尋ねた。

柊は頷こうとした。

二十年以上の付き合いだ。いったん拗れても、最近ようやく元に戻れたのだから、いまさら隠す必要なんてない――そう思った。

けれど、以前投げつけられた言葉が脳裏...

ログインして続きを読む