第18章

男がひとこと口を開いた瞬間、瀬戸北斗の表情がすっと陰った。

若い男のほうは終始にこにこと笑っている。立花柊はその笑みがどうにも胡散臭く見えて、腹の底では舌を出しているような――そんな狸めいた気配を感じた。

「兄さん、そんな目で見ないでよ。俺だって兄さんの体を心配してるんだ。だってさ、兄さんは家の大黒柱だろ? 兄さんが倒れたら、うちはどうなるんだよ」

笑っているくせに、声音だけが妙に薄っぺらい。心からの見舞いには、どうしても聞こえなかった。

瀬戸北斗はベッドの背に身を預けたまま、淡々と言う。

「瀬戸宏知。俺が倒れりゃ、お前がいちばん喜ぶだろ」

立花柊は傍らに立ったまま、兄弟の応酬を...

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