第52章 俺の彼女にならないか

地下鉄の車内。まるで逃亡者みたいに駆け込んできた立花柊を、周囲の乗客たちはぽかんと見送り、思わず舌を鳴らした。

このご時世、アレルギーも何でもありだな……。

雨にまでアレルギーって。

立花柊が自分の住むマンションの下に着いた頃には、もう三十分が過ぎていた。

乱れていた思考も、ようやく少しずつ落ち着いてくる。

――整理しよう。

瀬戸北斗は、一度だって「好きだ」と言っていない。

それに、自分の中のこの気持ちが恋なのかどうかも、柊には確信が持てない。

それに……。

仮にお互い好きだとしても、だからといって一緒になれるとは限らない。

身分だの立場だのの差はさておき、二人の間には心...

ログインして続きを読む