第55章 悪意を抱く

立花柊はわけが分からないまま保坂心月を見た。

「……ここに来て、何するの?」

保坂心月は「あなたのため」みたいな顔で言う。

「何って、決まってるでしょ。ちょっと見なよ、その肌……それにその格好。あんたは私が連れて入るんだから、私の顔に泥を塗らないでよ!」

入口の案内係が保坂心月を見つけると、すぐに駆け寄ってきた。

「保坂様、こんばんは。本日もいつもの――」

「違う。私じゃない」

保坂心月は被せるように遮った。

そして立花柊の背中をぐいっと押し、前へ出させる。ちらりと腕時計を確認してから、冷たく言い放った。

「一時間半。別人にして。男が見たら足止めるレベルで」

保坂心月が「...

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