第57章 災いを招く

「まったく、ボス! ずっと禁欲してたくせに、いきなり二人も落とすとか!」

次の瞬間、瀬戸北斗のグラスが大理石のローテーブルに叩きつけられた。ガン、と鈍い音が響き、個室の空気が一瞬で凍る。

「俺が立花佳織と婚約するって、どこの誰が流した?」

瀬戸北斗の視線が季原青陽を刺す。危険な色が濃くなっていき、季原青陽はようやく、また地雷を踏んだと気づいた。

気まずそうに笑い、立花佳織へ軽く顎をしゃくる。

「誰って……さっき俺がボスの車で迎えに行っただろ? そのとき本人が言ってたんだよ」

自分の車は祖父に取り上げられている。だから仕方なく、ボスの車を借りて迎えに行っただけだ。

瀬戸北斗はグラ...

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