第59章 気になる人

「……は?」

立花佳織は目を見開き、保坂心月を見据えた。

「あなた、いま……あの子が立花グループ企画部の新入社員だって言った?」

企画部は母が直轄している部署だ。

佳織の記憶が正しければ、この一年で入ってきた新人は――たった一人。

脳裏に浮かんだのは、安っぽいスーツを着て、俯いたまま端に立っていた、味気ない女。

存在感が薄すぎて、佳織の視界にすら入っていなかった。

それが――瀬戸北斗の腕の中へ?

未婚夫に手を出す? 死にたいの?

「面白いじゃない」

佳織はくすりと笑った。だが笑みは目に届かない。

「一人目も二人目も、自分がどれだけのものか分かってないのね」

バッグから...

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