第72章 立花おばさん

立花柊はまた首を横に振り、そっと尋ねた。

「立花社長、おばあさまは……この状態になって、どれくらいですか?」

「六年……」

立花昭沙の口元の笑みが、いっそう苦くなる。

「最初は普通だったの。でも佳織が見つかってから、母の症状がどんどん悪化して……今じゃ、人の区別もつかない」

その言葉に、立花柊の瞳がわずかに揺れた。

――佳織が見つかってから。

それは、どういう意味なのだろう。

疑問が顔に出ていたのだろう。立花昭沙は小さく息を吐いた。

「佳織は五歳のときに迷子になってね。見つかったのは……十八歳になってから」

立花柊は言葉を失い、手の紙コップが危うく傾きかけた。

呆然と立...

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