第74章 六つの目が向き合う

「どうして電話くれなかった?」

「かけたよ。つながらなかった」

瀬戸北斗の声は相変わらず感情の起伏が読めない。ただ、街灯の反射を宿したその瞳だけが、底なしの深い淵みたいに暗かった。

立花柊がスマホを取り出して画面を見る。そこでようやく、電源が落ちていることに気づいた。

今日は一日中ばたばたして、食事すらろくに取れていない。充電なんて気にする余裕もなかったのだ。

「充電切れちゃって」

柊は真っ黒な画面のスマホを瀬戸北斗の前で軽く振って見せ、続けて尋ねる。

「それで、私に何か用?」

瀬戸北斗は首を横に振った。

「別に。大した用じゃない」

……なのに、明らかにそれだけで帰る気で...

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