第82章 運命

立花柊は身体をこわばらせたまま、無意識に指をぎゅっと握りしめる。心臓が胸の内側から飛び出しそうだった。

そのとき――カチッ。

瀬戸北斗が彼女の脇へ手を伸ばし、シートベルトを引き寄せて差し込み、バックルを留めると、何事もなかったように元の姿勢へ戻った。

あまりに自然な動き。まるで何度も繰り返してきたみたいに。

男の声には、わずかな笑みが滲んでいた。

「シートベルト、してなかった」

立花柊は、急に居たたまれなくなる。

「は、はは……ありがとう。締めてくれて!」

口元だけで笑って、慌てて窓の外へ顔を向けた。片手でぱたぱたと扇ぎ、熱くなった頬を冷まそうとする。

瀬戸北斗は笑みを抑え...

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