第83章 立花柊がここにいなくてよかった

「立花のお嬢様って、ほんと羨ましいわ。家柄は一流だし、あんなにハンサムな婚約者までいて……嫉妬しちゃう」

「婚約者? 両家に縁談があるって話は聞いたけど、いつ婚約したの?」

話の口火を切った貴婦人は、明らかにもっと事情を知っている顔だった。意味ありげにもう一人へ指をくいっと曲げて招く。

「そこがあなた、分かってないのよ。立花佳織の首元、見た? あのネックレス」

もう一人がすぐ身を寄せ、わざとらしく首をかしげる。

「なに? あれ、ただの飾りじゃないの?」

「ふん。あの中身が大きいのよ。あれはね――永遠の心」

「えっ……あれが? 瀬戸家の女主人しか身につけられないっていう、永遠の心...

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