第85章 リボン

立花柊はバッグを開け、皆の目の前で中身を一つずつ取り出していった。誰かに預けて探させたりはしない。そんな隙を与えれば、簡単に「入れられる」からだ。

背負っていたのは、どこにでもある帆布のトート。中はほとんど一目で底まで見通せて、そもそも隠しようがない。

念のため、全部出し終えると、空になったバッグをひっくり返して逆さにし、ぶんぶんと振った。もちろん、何も落ちてこない。

しん……と、場が静まる。

その沈黙が、柊の胸をいっそう締めつけた。息が詰まって、吐き出せない。

――この人たち、最初から私が盗んだって決めてるんだ。

目の前の「証拠」すら、見えていないふりをして。

すると、人混み...

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