第90章 転属させられる

立花柊は立花昭沙のオフィスを出ると、胸元をそっと押さえた。

どこから湧いてきたのか分からない、見知らぬ鈍い痛み。

気持ちを整え、席へ戻って荷物をまとめる。

周囲の同僚たちの視線は落ち着かない。聞きたいのに、聞いてしまったら最後――そんな怯えが透けて見えた。

立花柊は彼らを責めなかった。軽く笑ってみせ、箱を抱えたまま立花グループ本社を後にする。

スマホがぶるりと震えた。

画面に出たのは新谷寒弥からのメッセージ。

『柊、尋親サイトのほう、明後日の午後3時で向こうが約束してくれた。時間ある?』

立花柊はその一文を、しばらく見つめた。

そして短く返す。

『ある』

全身にまとわり...

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