第94章 本当に感謝している

立花柊には、彼女が泣いている顔は見えない。ただ、だんだんと声量を増していく嗚咽だけが耳に刺さった。

曾我梅が泣くのを見て、悲しくなるべきだと思う。けれど、どうしても涙が落ちてこない。

立花柊はティッシュを一枚引き抜き、そっと差し出した。

「もう泣かないで。そんな歳で泣きすぎたら、体に悪いよ」

曾我梅は言葉に詰まり、喉がひくりと鳴った。――さすがに演技を続けづらい。

誰が「歳」だって?

毎月何十万も美容にかけてるのに、若く見えるって言われてるのに。

罵声を浴びせたい衝動が喉元までせり上がる。だが長女に言いつけられた「やるべきこと」を思い出し、歯を食いしばって飲み込んだ。

「ママ...

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