第95章 緩み

「ママが悪かった。ひとりで外に放り出して、あんなに苦労させて……」

立花柊は嗚咽をこらえながら首を横に振り、曾我梅の腕の中からそっと離れた。目尻を指でぬぐい、息を整える。

「もう遅いですし、早く帰って休んでください。ごはん、届けてくれてありがとうございました。すごくおいしかったです」

曾我梅は首を振り、年季の入った弁当箱をぶら下げたまま立花柊に手を振った。

「うんうん。じゃ、ママ帰るね。あんたも早く休みな」

立花柊の視線が、背中にずっとついてくるのを曾我梅は感じた。口の端が、ほんの少しだけ歪む。

――今まであれこれやってきたのに、結局こういう“泣かせ”が一番効くってわけ?

やっ...

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