第96章 盗みをする

「いい加減にしなさい! あんたたち、頭おかしいの!?」

立花佳織が駆け寄り、佐野静の腕を掴んで無理やり引き起こす。だが佐野静は佳織を押し返し、なおも保坂心月に殴りかかろうとした。

「やめろって言ってるでしょ、佐野静! まだ手を出す気なら――あんたの小遣い、止めるから!」

その一言で、佐野静の動きがぴたりと止まった。

腫れ上がった両目の奥に、どす黒い憎悪だけが残る。

立花佳織の姿を見た途端、保坂心月は「うわぁぁん!」と声を上げて泣き出した。

泣きっぷりは、これ以上ないほど惨めで、これ以上ないほど被害者だった。

「立花様ぁ……私、衣装部屋で物音がしたから心配で見に来ただけなんです。...

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