第97章 隣人

「姉ちゃん、ほんとに他意はないんだ。さっきのも全部、売り言葉っていうか……ただ、あのホストがさ、可愛すぎて。手持ちの金が足りなくて回せないだけで」

立花佳織は手にしていた煙草を灰皿に押しつけ、口元だけで笑った。嘲りが滲む。

「ホスト一人に、何百万も使ったの?」

視線だけを泳がせ、思いついたように言う。

「そのホストのLINE、持ってるでしょ?」

「……あるけど」

佐野静は訝しげに姉を見た。立花佳織が何を言い出す気なのか、読めない。

「私のLINEを送って。ちょっと用事を頼む」

あまりに軽い口調だった。けれど佐野静の胸の内は、どん、と波が立つ。

あのホストに、どれだけ手間も金...

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