第10章

その夜は眠れなかった。一睡も、できなかった。

ベッドに横たわって天井を見つめながら、直樹の告白を何度も何度も頭の中で繰り返していた。『二年生の頃からずっと、君のことが好きだったんだ』

そう言った時の彼の声。怖がっているようで、同時に希望に満ちているように見えた、あの表情。

でも、何よりずっと考えていたのは、あのキスがすべてを変えたという彼の言葉だった。

彼は正しかった。あれはすべてを変えた。ただ、彼が思っているのとは違う形で。

あの夜まで、直樹は亮の友達で、みんなにご飯を作ってくれる人で、いつも私たちが無事に家に帰れるように気遣ってくれる、頼れる人だった。安心できる直樹...

ログインして続きを読む