第6章

伊佐子視点

今日は、彼らの婚約パーティーだった。

私はマンションのソファに座っていた。カーテンは固く閉ざされ、部屋は暗闇に包まれている。スマートフォンの画面だけが、インスタグラムのライブ配信を映し出し、弱々しい光を放っていた。

海斗は紺色のスーツを着ていた。私たちが一緒に選んだ一着だ。私たちの婚約パーティーのためにとっておくと言っていたのに。今、彼はそれを着て、別の女性にプロポーズしている。

彩音は息を呑むほど美しかった。シャンパンカラーのドレスをまとい、その指には私が夢見ていたダイヤモンドの指輪が輝いている。心から彼を愛しているとでもいうように、彼女は輝くような笑顔を見せて...

ログインして続きを読む