第24章佐藤社長とはそんなに親しくない

「でも……」

「大丈夫だよ、兄貴。そんなに好きじゃないし」彼女は笑顔で言った。彼女にとってそれはあってもなくてもいいものだった。

平村雄はもう入札しなかったので、その品物は佐藤深のものになった。周りの人々は思わず「お金持ちは違うな」と感嘆した。

鈴木悦子も興奮した表情を浮かべていた。佐藤深がこんな高価なものを自分に贈るとは思ってもみなかったので、不安と同時に少し嬉しかった。

しかし、そのイヤリングは彼女の前には届かなかった。

彼女は佐藤深が目も瞬かずに支払いを済ませ、侍者に何かを耳打ちするのを見た。その後、侍者は武内夕子の前に行き、適度な声で言った。「お嬢さん。佐藤社長がこのイヤリ...

ログインして続きを読む