第180章 呼び方がとても甘い

浅見紗雪は心の中で疑問に思いながら、無意識のうちにウォークインクローゼットの中を見回した。

どうやら、人が隠れられるような場所はもうないようだ。

まさか、あの男、二階から飛び降りたのか?

でも、まだ怪我をしているはずじゃ……?

どういう状況かは分からないが、彼がいなくなったのは好都合だ。瞬兄さんと鉢合わせして喧嘩になるのを防げるし、自分が仲裁に入る手間も省ける。

そう思うと、浅見紗雪はようやく心の動揺を鎮めることができた。

彼女は兄の腕に絡みつき、言った。「これで捜索は終わり? だから言ったでしょ、ここには誰もいないって。信じてくれないんだから」

榊原瞬の表情は、しかし、やや厳...

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