第262章 暑さ

ダンス?

「他の方を……」

 彼女が断りの言葉を言い終える前に、朔也がそれを遮った。

「これは、お祖母様の意向だ」

 そして身を屈め、彼女にダンスを申し込む紳士的な仕草を見せる。

 紗雪は断ろうとしていた言葉を、途端に口にできなくなった。

 でも、彼と踊るなんて承諾した覚えはない。

 先ほどの会場での噂についても、まだ彼に落とし前をつけさせていないというのに!

紗雪は声を潜め、歯を食いしばりながら問い詰めた。

「ダンスの時間があるなら、どうして前もって教えてくれなかったの?!」

 朔也は軽く唇の端を上げ、言った。

「教えようが教えまいが、俺が踊りたいのはお前だ」

 オ...

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