第273章 彼女のために、あらゆる譲歩ができる

「フン」

智也は冷たく鼻を鳴らした。「そんな子供だましな言葉を、俺たちが信じるとでも? 我々榊原家が、それほどちょろく見えるか?」

朔也は言い返す。「榊原社長がお信じにならないのも無理はありません。ですが、この件には証拠もあります。五年以上前、ある者が子供を風間グループのビルの前に置き去りにし、一時騒動となり、警察沙汰にまでなりました。

お疑いでしたら、お調べになれば、私が嘘を言っているかどうかわかるはずです!」

智也はフンと鼻を鳴らし、彼への不満を隠さない。「俺の妹を捨てた薄情者を、何を根拠に信じろと?」

その一言に、朔也はぐっと言葉に詰まり、返す言葉もなかった。

風間のおばあ...

ログインして続きを読む