第292章 彼が恋しい……

朔也はその時、まだ風間グループで会議中だった。

普段、朔也が会議中にスマホを手に取ることはない。

だが今は、子供たちも紗雪もK市にはいない。T市で何かあった時にすぐ連絡が取れないことを懸念し、電源を入れたままにしていたのだ。

風間グループの幹部が業務報告をしている最中だった。

不意にピロンと音が鳴り、会議室の空気は途端に静まり返った。

全員の視線が社長のスマホに注がれる。その眼差しには一様に驚きが浮かんでいた。いつも冷徹で厳格な上司が、まさかスマホの通知音で会議を中断させることがあるなんて!

朔也は部下たちの視線に気づかず、陸斗からのメッセージだと分かると、幹部に「続けろ」とだけ...

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