第302章 証拠? 探せばある!

 朔也はそれを聞き終えると目を細め、紗雪に顔を向けた。

「この男を知っているか?」

「ええ、知ってはいますけど、詳しいわけでは……」

 紗雪は浮かない顔で、やや躊躇いがちに答えた。

 彼女が軒を知っているのは、彼が月の熱狂的な求婚者だからだ。

 ただ……証拠もないのに、口に出しにくいこともある。

 だが、彼女が言わなくても朔也が知らないわけではなかった。

 蒼はとっくに調査済みで、紗雪が言い淀んでいるのを見て、自ら主君である風間へと報告した。

「風間様、この天野軒は榊原月の筆頭求婚者でして、T市では知らぬ者はおりません。ただ、いくつか疑わしい点はありますが、確たる証拠がござい...

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