第364章 朔也にだけ違う

「本当かい?」

景の視線が、紗雪の顔の上を彷徨う。その言葉の真偽を確かめているかのようだ。

紗雪はにこやかに笑って言った。「もちろん本当よ。でも、正直に言うと、たとえ榊原家の危機が解決していなくても、私はやっぱり断っていたと思う」

景はとても良い人だ。しかし、紗雪はよく考えた末、この縁談を受け入れることはできないと結論付けていた。

景の瞳の色が幾分か深まり、心臓に微かな刺すような痛みを感じた。

彼は無理に笑顔を作り、問いかけた。「どうして?」

紗雪は臆することなく、平然とした表情で言う。「もちろん、景兄さんのことをお兄ちゃんだと思っているからよ。私の中では、景兄さんは智也兄さんや...

ログインして続きを読む