第456章 彼を放っておくことはできない

 だが、雫も分かっている。相手はただ浴室を借りに来ただけで、それ以上でも以下でもないのだと。

 彼女は冷静で、すぐに余計な考えを振り払い、踵を返して髪を乾かしに行った。

 十分ほど経った頃だろうか、智也もシャワーを終えて出てきた。

 雫はちょうど髪を乾かし終えたところで、ドアの開く音を聞き、無意識に浴室の方へ顔を向けた。

 彼の濡れた髪はまだ湿っており、水滴が頬を伝って滑り落ちる。湯上りの体からは、何とも言えないセクシーな魅力が漂っていた。

 バスローブの下から覗く筋肉のラインは、まるで底知れぬ力を秘めているかのようだ。

 そして、立ち上る湯気とほのかなボディソープの香りは、まる...

ログインして続きを読む