第502章 チャンスをください

無理やりなお見合いをさせられたせいで、加瀬はここ数日、家に帰るたびに嘆きのオーラを放っていた。

雫は、そんな兄の様子を悠々と眺めて楽しんでいる。

伊織でさえその噂を耳にし、わざわざ時間を作って加瀬を慰問しに来たほどだ。

雫が家にいるのを見ると、彼女とお喋りをしながら探りを入れる。「どうして実家に? 榊原社長は帰国したのか?」

実のところ、彼女に会うことこそが、伊織が九条家を訪れた真の目的だった。

彼女が幸せならそれでいい、と自分に言い聞かせようとはするものの、そうするたびに心のどこかで割り切れない思いが燻る。

彼女の幸せは、自分が与えたいと願ってしまうのだ。

雫は、自分に向けら...

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