第84章 彼の心には紗雪がいる

陸斗は気が気でなく、すぐさまパパを説得にかかった。「帰らないのはだめ? 僕、ここが好きなんだ。このまま住んでいたい!」

朔也はもちろん反対だ。

そもそもこちらへ引っ越してきたのは、一時的な思いつきで、目的も一部の人間や不要なトラブルを避けるためでしかなかった。

その後、目が正常に戻ったからには、これ以上ここに住み続ける必要はない。

陸斗はパパが首を縦に振らないのを見て、頑なに説得を続けた。「でも、ここには鈴ちゃんも、きれいなおばさんもいるんだよ。離れたくない……」

その理由を聞いた朔也は、彼をなだめるように言った。「鈴ちゃんは、幼稚園に行けば毎日会える。きれいなおばさんについては…...

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