第134章

薄井宴がまだ戸惑っていると、携帯電話の着信音が鳴り響いた。

 同時に、太郎の腕時計型電話も鳴った。

 父子二人は同時に視線を落とし、どちらも表情を変えた。

「ちょっとトイレに行ってくる」

 藤堂太郎は薄井宴にそう言うと、足早にその場を離れた。

 薄井宴は特に気に留めることもなく、その場で電話に出る。「話せ」

「兄貴、昨夜の謎の男の手がかりが見つかりました!」

 薄井宴は眉をひそめた。「……」

 相手が真剣に調べ上げた情報を話すのを聞くにつれ、薄井宴の顔はますます険しくなっていく。

 電話が切れると、彼は暗い顔つきで煙草に火をつけた。

 一本の煙草を吸い終わらないうちに、薄...

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