第174章

「ハックション——」

 酒を飲んでいた薄井宴は、突然くしゃみをした。

 加賀景城が魅力的な目を細めてからかう。「誰かにお前の悪口を言われてるな」

 薄井宴は彼を無視し、一瞥もくれずに酒を飲み続けた。

 手酌で煽り、そのままテーブルに突っ伏してしまった。

 ソファの背もたれに寄りかかり、目を閉じ、苦しそうにネクタイを力任せに引きちぎるように緩めている。

「宴」加賀景城が何度か呼びかけたが、何の反応もない。

 彼が意識を失っていることを確認すると、加賀景城は周に尋ねた。

「今日、一体何があったんだ。どうしてあんなに落ち込んでる?」

 加賀景城が使ったのは『怒っている』ではなく、...

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