第178章

 薄井宴は、まるで飴をねだる子供がお目当ての飴ちゃんをもらえたかのように、ご機嫌だった。

 彼は酔眼朦朧とした様子で圭人を見て笑う。その笑顔はどこまでも純粋で、太陽のように明るい。

 一目で心からの笑みだとわかる。本当に嬉しいのだ。

 藤堂光瑠は複雑な表情で彼を見つめる……。

 こんなに無防備な彼は初めて見る。子供のように屈託なく笑う彼も、初めて見る。

 まるでこの瞬間、圭人が親で、彼が子供のようだ。

 誰かが言っていた。どんなに大人になった男でも、心の中には童心を隠している。その童心は、生活の様々なプレッシャーに怯え、滅多に顔を出さない、と。

 だが、何かをきっかけに男が無頓...

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