第199章

藤堂光瑠の十数時間張り詰めていた神経が、ようやく緩んだ。

 ふう、と深く息を吐き出すと、彼女は冷めた視線を薄井宴に向ける。

 その眼差しに、薄井宴の心臓が不意に震えた。それに続いて、緊張と不安がどっと押し寄せてくる。

 彼女が緊張し、怯えている時はただ胸が痛むだけだった。だが、彼女が急に冷静になると、逆に彼の方が恐ろしくなったのだ。

 彼女の目つきと表情には、どこか死を覚悟したような雰囲気があった……。

 彼女は、それほどまでに過去の事実と向き合いたくないというのか?

 過去と向き合いたくないのか、それとも、彼と向き合いたくないのか?

 薄井宴は唇を動かしたが、何かを言おうとし...

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