第238章

 この時ばかりは次郎が珍しく静かだった。彼は藤堂光瑠の手を引き、漆黒の瞳をきょろきょろと動かしている。

 しばらく藤堂光瑠を見たかと思えば、今度は薄井宴に視線を移す。

 今日、自分がとんでもないことをやらかしたという自覚はあった。

 太郎からは少し抑えるようにと忠告されていたのに、興奮してすっかり忘れてしまい、うっかり清水家をめちゃくちゃにしてしまったのだ!

 幸いにも今日はあのクソ親父が来てくれた。そうでなければ、自分の実力がバレて、きっとママを心配させてしまっていたはずだ。

 清水家を後にしてから、藤堂光瑠はやはり堪えきれずに一言こぼした。「今日はありがとう」

 薄井宴は平然...

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