第250章

 太郎はその言葉を聞いて、一瞬呆然とした。

 彼は薄井宴をぼんやりと見つめた。彼が突然そんなことを言うとは、まったく予想していなかったのだ。

 奇妙な感情が、不意に胸に込み上げてくる。それがどんな感覚なのかはっきりしない。彼に認められたという誇らしさと驚きもあれば、気づいてもらえなかったことへの切なさとやるせなさもある。

 しかし、このやるせなさが一体どこから来るのか、彼自身にもよく分からなかった。

 別に、彼に気づいてもらいたいなんて思ってもいなかったはずなのに!

 明明、彼なんて自分にとって、いてもいなくてもいい存在のはずなのに。

 三兄弟は物心ついた時からママと一緒に暮らし...

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