第252章

ひかりが丘団地は未来団地から少し離れている。

 薄井宴が未来団地に到着した頃、団地内は静まり返っており、明かりがついている家はまばらに数軒あるだけだった。

 この時間、ほとんどの家はすでに寝静まっている。

 薄井宴は車を隅に停め、顔を上げて夏川甘の向かいの家を一瞥した。

 夏川甘の家も、その向かいの家も、明かりは消えていた。

 薄井宴は目を細め、車のドアを開けて降りた。

 団地内にあった野良猫の死体はすでに片付けられていたが、風の中にはまだ濃厚な血の匂いが混じっており、この冷たい夜に不気味さを添えている。

 彼は十号棟に向かって歩き、エレベーターで最上階まで上がると、夏川甘の家...

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