第276章

藤堂光瑠は少し言葉を整え、真剣な表情になった。

「あなたは圭人の母親に対する感情が、好きだという気持ちじゃないかもしれないって、考えたことはありませんか? もしかしたら、ただ彼女に償いをしたいだけで、償いは愛とは違います」

 薄井宴は眉をひそめた。「圭人がおまえに、俺とあいつの母親の話をしたのか?」

「……はい」

 薄井宴は眉間の皺を深くした。また煙草が吸いたくなったが、藤堂光瑠がそばにいる手前、吸わなかった。

 しばし沈黙した後、彼は再び藤堂光瑠に視線を戻し、先ほどの質問を繰り返した。

「俺が圭人の母親に対して抱いているのが償いだろうが愛だろうが、それは俺の問題だ。おまえはなぜ...

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