第297章

少し躊躇した後、藤堂光瑠はためらうことなく彼を抱きしめた。

「人と人との付き合いにおいて、血の繋がりという絆は確かに簡単に無視できるものではありません。でも、人の感情というものは往々にして共に過ごす中で築かれるものです。だからこそ、『産みの親より育ての親』なんて言葉があるんですよ。

薄井昌山みたいな人は、七十歳を過ぎても安穏としていられず、自分の曾孫に毒を盛るなんて……生まれつき冷血な人間だという証拠です。そんな人の目には親愛の情なんて存在しないし、そんなものを持つ資格もありません。

冷血な人間に心なんてありません。あなたが何をしても彼は感動しない。だから、彼が何をしてもあなたが失望し...

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