第30章

周は薄井宴に目をやり、口を開いた。

「まさか……この間の藤堂さんのキスが……」

周はごくりと唾を飲み込み、続けた。

「沉兄貴の何かを思い起こさせたのかもしれないな。沉兄貴の周りには、ここ数年ずっと女がいなかったのはお前も知っての通りだ」

薄井宴はそれには答えず、また一本煙草を取り出して火をつけた。

実のところ、この結果に彼自身もそれほど驚いてはいなかった。圭人の実母をあれほど長年探し続けていたのだ。もし藤堂光瑠が本当にその本人なら、どうして一言も触れないことがあろうか。

煙草の灰を弾き落とす。

今となっては、藤堂光瑠が自分に近づいた真の目的を疑っていた。圭人の実母になりすますつもりな...

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