第315章

藤堂光瑠は薄井宴を睨みつけた。その剣幕から、相当怒っていることが窺える。

 薄井宴は眉間に深い皺を寄せ、彼女と視線を合わせた。体内の怒りはまだ鎮火しておらず、彼女のその気迫が、彼の鬱屈とした気持ちをさらに掻き立てる。

 巌谷研一の肩を持って、俺を怒鳴りつけるつもりか?!

 悪いのは俺だと、そう思っているのか?

「怪我はなかった?」唐突に彼女が尋ねた。

 薄井宴は呆気にとられた。「?」まさか第一声が自分の心配だとは思わなかった。

 少しだけ胸のつかえが下りたが、それでもなお不機嫌な顔は崩さない。

「巌谷研一に心底入れ込んでるくせに、俺の生死を気にかける余裕があるとはな!」

 藤...

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