第325章

返答は簡潔だった。「何の情報もありません」

 薄井宴の心臓が、しかし、激しく一度跳ねた。

 車に乗り込んだばかりの彼は、眉をひそめて尋ねる。

「圭人にそっくりな女の子は見つからなかったのか?」

「ええ。津上中の圭人と同じ年頃の女の子は全員調べ尽くしましたが、怪しい子は一人もいませんでした」

 周防はそう言うと、付け加えた。

「娘という情報、もしかしたら例の謎の人物があなたをミスリードするために意図的に流したものではないでしょうか?」

 薄井宴は煙草に火をつけ、深く一口吸い込んだ。

 彼の周りの気圧が低い。それにつられて車内の気圧までが急降下していくかのようだ。

 運転席に座...

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