第328章

藤堂光瑠は緊張で手のひらに汗が滲み、心臓が喉元までせり上がって、今にも飛び出してしまいそうだった。

 唇がしばらく動いたものの、声にはならない。そんな自分に少し腹が立ってきた。

 普段は強気でいられるのに、肝心な時になると臆病になってしまう。彼を前にすると、途端に意気地がなくなるのだ!

 藤堂光瑠はぐっと唇を噛み締め、小さな顔を上げて彼を睨みつけるように問いかけた。

「私のこと、好きなんでしょう!?」

 薄井宴は「……」と絶句した。多少の驚きはあった。彼女がこんなにも単刀直入に訊いてくるとは思っていなかったからだ。

 眉をひそめる彼女の様子を見て、わざと強気な態度を作っているのか...

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