第352章

藤堂光瑠が未来団地に戻ってきたのは、夜の十時過ぎだった。

 薄井宴は本当は彼女を返したくなかった。彼女と離れるのが名残惜しかったのだ。しかし、藤堂光瑠は丸一日一夜子供たちに会っておらず、会いたくてたまらなかった。

 それに、恋愛をしているとはいえ、ずっとべったり一緒にいるのもどうかと思い、帰りたいと要求したのだった。

 車が未来団地に入ると、薄井宴の顔つきがたちまち変わり、眉をひそめて不機嫌になった。

 ここには、彼が虫唾の走るほど嫌悪している巌谷研一がいるからだ!

 藤堂光瑠は彼が別れるのが寂しくて不機嫌なのだと思い、慰めた。

「明日また会えるじゃない」

「……ああ」

 薄...

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