第361章

薄井宴は眉を寄せた。「誰だ?」

「拓也です」

 薄井宴の瞳が、ぐっと引き締まった!

 彼は何も言わず、片手をポケットに突っ込んで喫煙エリアへ向かうと、スマートフォンを耳に挟み、煙草に火をつけた。

 拓也は彼に仕えて十年になる。周防影が直々に育て上げた、彼の側近である二級ボディーガードだ。

 一級は周防影ただ一人。

 二級は数人いるものの、このレベルになると彼の側近中の側近、まさに中核を担う人材だ。

 彼にとって中核の人間が何を意味するか——それは、家族だ!

 拓也の裏切りは、家族に裏切られたも同然だった。

 薄井宴は怒りを表に出さず、眉を寄せたまま煙草を半分ほど吸ってから尋...

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