第374章

薄井家の本宅には人工の湖があり、湖には蓮がびっしりと植えられていた。

 この季節、蓮の花はまだ満開ではなかったが、葉が幾重にも重なり合う様は、それだけで一つの美しい風景を成していた。

 湖の中心には、景色を眺めるための東屋も建てられている。

 薄宴沉は藤堂光瑠の手を引いて騒がしい人混みを離れると、一目散にここまで走ってきた。

 今、東屋には二人しかいない。

 圭人は運転手に直接病院へ向かわせ、太郎と三郎のところへ連れて行かせた。これからの時間をパパとママのためだけに残してあげるために!

 パパとママには、きっと話したいことがたくさんあるはずだ。圭人にはそれがわかっていた。

 そ...

ログインして続きを読む