第397章

薄井夫人――それが、どれほどの立場か。

名家が集う社交界でも、頂点に立つ女。

薄井グループ社長の妻。

名門・薄井家の女主人。

そして、薄井宴の妻だ。

あの藤堂光瑠なんかに、どうして務まるのよ。

最初から嫁ぎ先が薄井宴だとわかっていたなら、たとえ足が悪くても私は嫁いでいた。

――いや、違う。

薄井宴は足が不自由なんかじゃない。数日前に会ったばかりだ。体つきは引き締まっていて、顔立ちもいい。気品のある冷たさをまとっていて、一目見ただけで心を奪われるような男だった。

そんな男を、自分たちの手で藤堂光瑠に差し出したというの……?

そんなの……。

藤堂心はとうとう耐えきれず、「わ...

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